top of page

仕様書の自動生成:充電制御のためのCコードからMATLABモデルへの変換

Mar 5

読了時間:4分

0

2

0


#Automotive #EV充電 #ModelBasedDevelopment #MATLAB #Simulink #組み込みシステム #AutomatedDocumentation #電気自動車 #ChargingControl #CtoMATLAB #ソフトウェア開発 #自動ドキュメント生成 #EmbeddedSystems #充電制御 #自動車
iJbridge Incorporation
導入

電気自動車(EV)の充電制御システムがますます複雑化する中、従来のC言語ベースの実装からMATLAB/Simulinkモデルへの移行は、保守性、検証、モデルベース開発(MBD)ワークフローとの統合を向上させるために不可欠です。しかし、この移行には、機能ロジックを正確に変換すると同時に、ISO 26262などの自動車業界標準への準拠を確保する必要があります。さらに、仕様書の自動生成は、手作業の負担を軽減し、一貫性を保ち、開発サイクル全体でのトレーサビリティを向上させる重要な役割を果たします。

本記事では、充電制御システム向けのCコードをMATLAB/Simulinkモデルに変換するための構造化アプローチと、仕様書の自動生成プロセスについて、技術的な視点から詳しく解説します。

充電制御システムの概要

EV充電制御システムは、充電ステーションと車両バッテリー間の電力フローを管理し、安全性、効率性、標準プロトコルの準拠を確保します。主な制御機能は以下の通りです。

  • 状態遷移制御:充電開始、アクティブ充電、バランス調整、充電終了のシーケンスを管理

  • パワーエレクトロニクス制御:フィードバック制御を用いた電圧・電流・電力レベルの調整

  • 充電ステーションとの通信:CCS(Combined Charging System)、CHAdeMO、GB/Tなどのプロトコルを実装し、充電パラメータを交渉

  • 熱管理および故障管理:温度監視、故障検出、緊急遮断機構の実装

  • バッテリー管理システム(BMS)との連携:SoC(State of Charge)、SoH(State of Health)の監視と適切なインターフェースの確保

C言語でのレガシー実装は、リアルタイム組み込みプラットフォーム向けに最適化されているため、MATLABへの移行には体系的なアプローチが求められます。

CコードからMATLABモデルへの変換プロセス

1. 静的および動的コード解析

まず、Cコードから機能要素を抽出するために静的コード解析を実施します。PolyspaceやClang静的解析ツールを活用し、以下を分析します。

  • 制御フローの複雑性

  • データ依存関係

  • グローバル変数の使用

  • 関数呼び出しの階層構造

  • ポインタの参照とメモリアクセス

また、動的解析として実行プロファイリングツールを使用し、以下を特定します。

  • 割り込みハンドラなどの時間依存処理

  • 計算ループ内のボトルネック

  • タスクスケジューリングの優先度

  • 信号処理メカニズム

2. 機能分解とブロック表現

コード解析後、以下の方法でMATLABモデルを構築します。

  • Stateflowによる制御ロジックの表現:充電制御の状態(Idle、Pre-Charge、Charging、Post-Chargeなど)を状態遷移条件とともにモデル化

  • Simulink関数ブロックの活用:PIDベースの電流制御や電圧調整アルゴリズムをSimulinkサブシステムへ変換

  • ルックアップテーブル(LUT)実装:C言語の配列から温度依存の充電レートなどのマッピングデータをSimulinkのLUTブロックに移行

  • カスタムMATLAB関数:Cコードの数学変換やフィルタ処理をMATLAB Functionブロックで実装

3. 組み込みCパラメータをSimulinkデータオブジェクトへマッピング

Cコードで定義されたマクロや定数を、Simulink.Parameterオブジェクトとして定義し、適切なデータ型とチューニング可能な属性を割り当てます。


#define MAX_CHARGING_CURRENT 50.0 → Simulink.Parameter('MAX_CHARGING_CURRENT', 50.0) static const float overvoltage_threshold = 4.2; → Simulink.Parameter('overvoltage_threshold', 4.2)


4. 信号ルーティングとインターフェース定義

  • I/Oポート設定:SimulinkのInport/Outportを対応する信号名とバス構造にマッピング

  • 信号ログ記録:Data Store MemoryブロックやData Logging機能を活用し、シミュレーション挙動を記録

  • 外部ハードウェア統合:S-FunctionやSimulink Real-Timeブロックを活用し、組み込みシステムとの連携を確立

5. モデル検証(MIL: Model-in-the-Loopテスト)

  • バック・トゥ・バックテスト:MATLABスクリプトを使用して、CコードとSimulinkモデルの同一入力テストケースを実行し、機能同等性を確認

  • コーナーケースのシミュレーション:電圧変動、熱ストレス、電流サージなどの異常条件をシミュレーション

  • 浮動小数点精度解析:MATLABのFixed-Point Designerを活用し、C言語の固定小数点実装との数値安定性を検証

仕様書の自動生成

1. MATLABモデルからのメタデータ抽出

Simulink APIを使用して、仕様書に必要な情報を自動取得します。

  • ブロック情報:Simulink.findBlocksを用いて、機能ブロックやパラメータ、接続情報を取得

  • 信号フロー解析:Simulink.BlockDiagram.getGraphicalInfoを活用し、インターフェース図を自動生成

  • Stateflow遷移情報:sfroot APIを使用し、状態遷移条件やロジックフローを取得

2. 仕様書フォーマットの自動化

Simulink Report Generatorを活用し、以下を自動的にレポートにまとめます。

  • システムアーキテクチャ図:自動生成されたサブシステム間接続図

  • 機能記述:ブロックの説明やコメントを抽出

  • 検証テスト結果:MILテストの成功/失敗指標をレポート

  • パラメータ一覧:チューニング可能なパラメータ、デフォルト値、制約情報

結論

C言語ベースの充電制御システムをMATLAB/Simulinkへ移行することで、検証精度、保守性、規格準拠が向上します。自動変換を導入することで、人的エラーを削減し、開発効率を大幅に向上させることが可能です。

さらに、仕様書の自動生成により、ドキュメントの一貫性と品質を確保し、コンプライアンス対応を効率化できます。

今後、AIを活用したモデル生成やHIL(Hardware-in-the-Loop)検証技術の発展により、より迅速かつ信頼性の高い開発が実現するでしょう。

詳細は www.ijbridge.com までお問い合わせください。

Mar 5

読了時間:4分

0

2

0

コメント

あなたの思いをシェアしませんか一番最初のコメントを書いてみましょう。

         

         サービス

自動車組み込み

自動車SPICEとセキュリティ

製品エンジニアリング

AIとデータ分析

人材派遣と採用

教育および企業研修

サブスクリプションする

(株)iJbridge のニュースと更新情報を受け取るにはサインアップしてください。

Thanks for submitting!

​登録する

  • LinkedIn
  • X
  • YouTube
  • Facebook

株式会社iJbridge 

技術が世界を結ぶ

 

         所在地

         本社

〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3-1-76 大須本町ビル2F

TEL : 052 684 7129​ FAX : 050 1383 4686

          インドオフィス

601、スラトワラ マーク プラッツォ、ヒンジャワディ フェーズ 1、プネ、マハラシュトラ州、インド

電話:+91 9325713182 /+91 9145001121

© 2014 株式会社 iJbridge 

bottom of page